「中国駐在中は楽しく過ごしたい!」
「中国駐在は、どんなところが面白いのだろう?」
この記事をお読みの方の中には、中国駐在が決まり、新しいチャレンジに心を弾ませ準備を進めている方もいらっしゃるかもしれません。
本稿では、現地駐在員の声を中心に、中国に駐在すると分かる中国の良さや、中国独自の文化などをご紹介します。いずれも、日本にいるとなかなか知ることのできない楽しい情報です。これらを通して、赴任前のワクワク感を、もっと大きく膨らませていただければと思います。
一方で、「備えあれば憂いなし」です。駐在生活を一層楽しむために知っておくべき注意点も、お伝えしていきます。
本稿が、現地での貴重な経験をさらに有意義なものにする一助となれば幸いです。
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目次
1. 中国駐在は楽しい!駐在したからこそわかった「中国の良いところ」
母国ではない国の良いところは、実際にその地で生活をしてみないとわからないものです。当ブログを運営する株式会社ライトワークスには、上海の子会社「来宜信息科技(上海)有限公司」に駐在して4年目となる駐在員がいます。
本章では、彼の「気づき」を中心に、日本で生活していたときには知ることができなかった「中国の良いところ」をご紹介します。
参考)来宜信息科技(上海)有限公司ウェブサイト
https://www.sh-lightworks.cn/
1-1. 【ビジネス編】中国ビジネスのスピード感が刺激的!
日本人の感覚からすると、中国のビジネスシーンにおける「スピード感」には目を見張るものがあります。
例えばシステムを提供する場合、日本では要件定義で詳細を十分に詰めてから運用へと進めていくのが一般的です。
一方、中国では、要件の輪郭がざっと見えたらとりあえず運用をスタートし、走りながら考え、チューニングをしていく傾向にあります。
形式にこだわらずに、目的達成のための最短ルートを模索していくのが、中国のビジネススタイルなのです。
ビジネスメールの文面も、日本では多用されているまわりくどい挨拶などは少なく、用件のみピンポイントで送られることが多くあります。「謝謝!」という一文だけ、ということもままあります。
中国版LINEと呼ばれる「WeChat(ウィーチャット/微信)」でやり取りをするときも、テキスト入力だけでなくボイスメモを併用することが多いです。
とにかく合理的でスピード重視。中国のビジネスの「速さ」は、日本人のビジネス感覚にとても良い刺激を与えてくれるでしょう。
1-2. 【プライベート編】日本好きな中国人、親切な中国人がとても多い
ビジネス以外でも、中国に駐在し長期滞在するからこそわかる、中国の良さがあります。ここでは、主にプライベートで感じる「中国人や中国社会の良いところ」をご紹介します。
1-2-1. 日本に好意的な中国人が多く、「日本人」という理由で嫌な思いをすることは少ない
日本でメディアを通して触れる中国の情報は、偏見を生むような内容が多い傾向にあります。例えば、反日デモのシーンを極端に報じるなど、反日感情を持っている中国人が多いと感じるように、一部の情報が切り取られて伝えられることも多くあります。
しかし、実際に中国で生活をすると、年代にもよりますが、反日感情のある中国人に会うことはあまりありません。特に1990年代以降に生まれた若者は、日本の文化に好意的で、日本のアニメにもよく触れているようです。
「カワイイ」や「ありがとう」など、主にアニメの影響から日本語を知っている人も多くいます。実際に、中国人が特に行きたい国として日本が挙がることも多い傾向があります[1]。
1-2-2. 中国人には親切な人が多く、お年寄りや子どもに優しい
中国人は親切な人が多く、電車やバスの公共交通機関でお年寄りなどに席を譲る光景がよく見られます。
お年寄りだけではなく、子供に対しても非常に寛容で、実際にインターネット上でも「子供への優しいまなざし」を感じる記事が多く見受けられます。
上海で3年間生活した駐在員の妻のブログより
娘が公共の場で泣き始めると周りが「なんて可愛い泣き声なのかしら」「こんなに可愛い子いないわよ」と一緒になってあやしてくれたり、レストランに入ると店員さんがこぞって子供のお守り役を引き受けてくれました[2]。
モンゴル族の男性と国際結婚をし、日本と中国を行き来している日本人女性Yukiさんのブログより
中国だと、「子供だから泣くのは当たり前」「楽しそうに騒いでるならそれで良い。」。とにかく危ないことをしたり人を傷つけたりしなければ、子供なんだし騒ぐのは当たり前。皆そんな感覚。公共の場で小さい子供が騒いでいても、皆ニコニコ笑って可愛い可愛い言ってくれるし、近隣のおばちゃんたちが面倒みようとしてくれたり。
そんな感覚で東京に戻ってしまったらもう大変。
お台場のバスを待っている時に近くに生えていた猫じゃらしを取ろうと、前に並んでいた40〜50代の男性にちょっと触りそうになってしまった際、「触るなよバカ」のセリフ。東京で子供連れで公共の場に行った際、「すみませんすみません」が口癖になってる私[3]。
中国で子供への優しさに触れ、日本の子育て世帯への厳しさを実感するという意見も見られました。小さいお子様連れで駐在する方にとっては、ホッと安心できる情報かもしれませんね。
1-2-3. 中国では人と人の距離が近く、他人に寛容
「人と人との距離が近い」というところも、中国の良いところです。
知らない人同士でも気軽に会話をすることがありますし、「朋友(友人)」の関係になれば、遠慮なくお互いを助け合う深い関係を築くことができます。
また、他人に対して寛容というのも特徴です。中国では「他人にどう見られるか、どう思われるか」ということよりも、「自分は自分」という考え方が主流です。人目を気にする必要がなく、何をやっていても基本的に文句は言われないため、生活していく上で楽だと感じることも多いです。
中国の寛容さに慣れると、日本の「人目を気にする」「人に迷惑をかけない」「ルールから逸脱してはいけない」という暗黙の了解が根強い文化に、生きづらさを感じる方もいるくらいです。
このように、中国では合理的でスピードを重視するクールな面と、人情味あふれ人との付き合いを大切にする面が、絶妙なバランスで融合しています。よい意味で細かいことは気にせず、おおらかに生活できる風土がある、と言えるでしょう。
中国に駐在して初めてわかる「中国の良いところ」はたくさんあります。皆さんもぜひ体感してみてください。
また、体感しないとわからないことも多いですが、駐在前に現地のリアルな情報がたくさん載っている駐在員ブログを参考にして、現地の声を集めるという手段も有効です。
[1] 株式会社観光経済新聞社「【データ】 中国人旅行者の春節休暇、日本が人気旅行先1位 トリップドットコム調べ」,観光経済新聞,2020年1月20日,https://www.kankokeizai.com/%E3%80%90%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%80%91-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E6%97%85%E8%A1%8C%E8%80%85%E3%81%AE%E6%98%A5%E7%AF%80%E4%BC%91%E6%9A%87%E3%80%81%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%8C%E4%BA%BA%E6%B0%97/(閲覧日:2021年4月23日)
[2] 「元駐在妻の視点。住んでみて180度変わった中国上海のイメージと世界観。」,『もろGROBAL LIFE。』,2020年3月1日,https://mylife-myhappiness.com/archives/2155 (閲覧日:2021年5月6日)
[3] 「子どもに優しい中国と手厳しい日本」,『CHINAで笑っちゃいな――!』,https://ameblo.jp/yuki7sharon/entry-12542925471.html (閲覧日:2021年5月6日)
2. ちょっとオドロキ!中国駐在で知る中国独自の文化
ここからは、日本の生活ではあまりなじみがなく、中国では一般的な、中国独自の文化をご紹介します。
2-1. 【転職文化】転職は当たり前。「1995年以降生まれ世代の平均勤続年数は7カ月」というデータも
日本でも転職自体は一般的となりましたが、勤続年数が3年に満たない場合は早期離職と見なされ、書類選考を通過しづらい場合も多く、勤続年数の長さを重要視する傾向は根強くあります。
中国では、自分の市場価値を高め続け、条件の良い会社が見つかったら進んで転職をすることが一般的となっており、プロジェクトの途中だとしても退職届を出し、翌日から出社しない、というようなことにも抵抗が無いようです。
平均勤続年数は、若くなればなるほど短くなっていく傾向が見られます。Linkedinが2018年に発表したデータによると、各世代の最初の就職先での平均勤続年数は、1970年代生まれの世代では4年を越えているのに対し、1980年代生まれの世代は3年半と発表されています。そして、90年代生まれ世代になると19カ月(1年7ヵ月)、1995年以降生まれにいたってはなんと7カ月であると発表されています[4]。
このような現状に対し、日系企業の対策としては、余裕を持った人員配置を行い、急な退職へのダメージを軽減するという方法を採用している企業が多いようです。
中国では、ビジネスの進め方とともに、キャリアプランニングにもスピードが重視されていると考えられます。
2-2.【紅包(ホンバオ)文化】ビジネス・プライベート問わず行われる「お金のやり取り」
紅包(hóngbāo)という中国ならではの文化は、ビジネス・プライベート問わずに広く浸透しています。
紅包とは、日本でのお年玉やご祝儀をもう少しカジュアルにしたイメージで、「春節(旧正月)」や普段の「お祝い」「感謝」といった場面で送り合う現金のことを指します。スマートフォンが普及してからは、アプリを通して電子マネーの紅包を送り合うようになりました。
中国版LINEと言われる「WeChat」にも「紅包」という機能があり、紅包を送り合うことはもはや生活の一部となっています。ビジネスシーンでも広く浸透しており、WeChat上で誰かに何かを依頼をしたいときや、WeChatのグループに参加したときなどに、気軽に紅包を送り合うようです。
アプリで送り合う金額は1元~200元程度で、「先着〇名がもらえる」という設定にしていることが多いです。最も「紅包」をもらえた人に福が訪れる、と言われています。
2-3.【買い物文化】アプリを制する者が中国での買い物生活を制す
中国では、「Alipay」や「WeChatPay」といったスマホアプリを使ったキャッシュレス決済が主流であるということをご存じの方は多いかもしれません。
それだけではなく、中国では様々なアプリを使い、最もお得に買い物ができるものを選んで購入する形が主流になっています。用途によってアプリを使い分けたり、同じ商品でも複数のアプリを比較したりして、最も安いものを探した上で購入します。「アプリをうまく使って買い物ができるかどうか」で、日々の支払いが変わってくるのです。
特に若い世代はアプリを用いた「お得な買い物の仕方」のノウハウが豊富です。気心の知れる関係になると、駐在員にも割引を使って買い物をするコツなどを教えてくれることもあるでしょう。
1つで複数の役割があるスーパーアプリとしては、「美団/Meituan」が有名です。旅行予約やタクシー手配、飲食店レビューやフードデリバリー、スーパーマーケットのECなど、様々な機能があります。
中国に駐在中のN.Gさん
アプリに限らず、中国では情報を知っている場合とそうでない場合で、支払う金額の差が日本より大きいと感じます。例えば、同じ映画でも映画館や上映時間によって金額が2倍ほど違うこともあり、安い時間をリサーチして同じ金額でどれだけ多く映画を観られるか、という楽しみ方ができるようになりました。
商品を購入する場合はよりお得な方法を探し、円滑な人間関係を築くためには惜しみなくお金を使う。中国では、特に若い世代を中心にこのような考え方が主流です。
「必要なことに対し消費はするが、無駄な使い方(浪費)をしない」という金銭感覚についても、中国では合理的な考え方が根付いていると言えそうです[5]。
[4] Xin(Sophie) LI「领英发布“第一份工作趋势洞察”,职场第一步是你人生的决胜时刻吗?」https://www.linkedin.com/wukong-web/articleShare/6432915156765904896 (閲覧日:2021年5月26日)
[5] 人民網「【中国キーワード】中国の若者のお金についての考え方は?」,『人民網日本語版』,http://j.people.com.cn/n3/2021/0224/c94476-9821650.html(閲覧日:2021年4月16日)
3. それでも注意は必要!中国駐在中に考えられるリスクや気を付けるべきこと
ここまで、中国の良いところや中国ならではの文化をご紹介していきましたが、中国駐在を楽しむためには、注意点やリスクを理解しておくことも大切です。
3-1. 衛生面
中国のイメージとして、市街地があまりキレイではないという印象を持つ方も多いでしょう。近年はだいぶ環境が改善されてきたとは言え、男女問わず道端にツバや痰を吐く人もおり、ペットの排泄物を持ち帰るという概念はあまりないようです。
また、飲食店でもおしぼりが出てくることはほとんどないため、自分で除菌ウェットティッシュや除菌ジェルを用意しておくと安心でしょう。
キレイ好きな人は受け入れるのが難しいかもしれませんが、「中国にお邪魔している立場」ということを忘れずに、徐々に環境に慣れていきましょう。
3-2. 悪意を持って近づいてくる人もいると理解する
中国駐在に限ったことではありませんが、純粋に日本人の友人として接してくれる人もいる反面、残念ながら、より騙しやすい外国人としてターゲットにされる可能性もあります。
タクシーに乗るとわざと遠回りをして運賃を多くしたり、悪質な場合は支払いに使用したICカードがすり替えられ、500元(約7,900円)チャージしていたにも関わらず数元しか残っていなかったという事例もあるようです[6]。
対策としては、カードホルダーにカードを入れたり、カード自体にシールを貼って自分の物とすぐにわかるようにしておく、などがあります。
また、男性駐在員が気を付けたいことの一つにハニートラップが挙げられます。中国人女性に日本語を教えて欲しいと声をかけられ、一緒に入店した飲食店で高額な料金を請求されるなどのトラブルも起きているようです[7]。
言葉の分からない異国の地で、母国語で話しかけてくれる中国人に親近感を感じて、うっかりついて行ってしまわないように気を付けましょう。
3-3. 日本本社との齟齬
他にも気を付けるべき点は、変化の激しい中国社会での仕事と生活でのプレッシャーを本社に理解されず、メンタル不調を起こすケースがあることです。
赴任に当たって、本社ではメンバークラスだった社員が駐在先で役職が上がり、マネジメントを任される立場になることも多くあります。
その場合、日本人相手でのマネジメント経験がないまま、文化やバックグランドの異なる中国人相手のマネジメントを行う必要があり、さらに相談する上司や同僚もいないという場合もあります。
また、中国の商慣習を理解しない本社に日本流のやり方を押し付けられ、日本と中国の板挟みになっている駐在員もいるようです。
そのような悩み多き駐在員同士で、本社の無理解によるストレスを代弁する「OKY(おまえが・来て・やってみろ)」という造語が生まれるほど、本社との齟齬は駐在員にとって根深いテーマとなっています[8]。
自分を理解してくれるパートナーを一人でも増やせるように、現地日本人コミュニティやSNSなどに参加し、積極的に周りと関わりを作ることで、孤独感をできるだけ回避するようにしましょう。
近年では、保険会社や人材派遣会社などが海外駐在員向けのメンタルヘルスサービスを提供するようになってきました。この動きからは、駐在員のメンタルケアを重視する企業も増えてきていることがわかります[9]。
会社からそのようなサービスが受けられないかどうかも、事前に確認しておくとよいでしょう。
[6] 株式会社トッパントラベルサービス「中国で遭いやすい犯罪は? 海外出張での防犯対策と体験談」,『BTHacks』,https://www.bthacks.com/2444/(閲覧日:2021年5月14日)
[7] 外務省「中華人民共和国(中国)安全対策基礎データ」,『外務省海外安全ホームページ』,https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_009.html(閲覧日:2021年4月16日)
[8]株式会社プレジデント社,「なぜ中国駐在1年内に「心の危機」が起きるのか」,『PRESIDENT Online』, https://president.jp/articles/-/2524(閲覧日:2021年4月23日)
[9] 海外生活株式会社「海外駐在員保険/メンタルヘルス」,『海外赴任.jp ONLINE』,https://xn--boq29vf5q6f4a.jp/guide008.html(閲覧日:2021年5月14日)
4. 中国駐在をより楽しくするためにやるべきこと
これまでは、実際に中国に駐在してからのエピソードや注意点をお伝えしました。ここからは、駐在生活をより楽しくするために、中国に駐在する前に日本でできる事前準備をご紹介します。
4-1. ハード面
赴任直前に慌てないように、遅くとも赴任3カ月前には準備を始めましょう。パスポートやビザの取得など、一般的な渡航手続きに加えて、運転免許証の更新や保険の見直しなど、 日本国内でないと対応できないことはたくさんあります。
さらに、家族で駐在する場合は子供の転校・転園先を決めたり、帯同者が孤独にならないよう日本人コミュニティをリサーチしておくことも大切です。
さらに、中国では日本にいる時と同様にはインターネットが使用できません。中国でTwitterやInstagram、GoogleなどのWebサービスを利用するには、VPN(Virtual Private Network)が必要です。
VPNはプロバイダーと契約する必要があります。インターネット規制がかかっている中国ではプロバイダーのサイトにアクセスすることもままならないという事態になりかねないため、日本にいるうちに契約をすることをお勧めします。
もし、先輩駐在員が身近にいるなら、実際に役立った意外なものや、用意したけれど全く不要だったものなど、リアルな情報を聞いておくことも有効でしょう。
4-2. ソフト面
物理的な準備と並行して、ぜひしておきたいのが中国に関する知識の習得です。
中国全体だけではなく、赴任先の地域の気候や環境、その土地ならではの歴史やローカルフードなどを調べて、「実際に自分が駐在するのはどんなところだろう?」と想像を膨らませることが、より駐在生活を楽しむことにつながります。
実際に赴任した後も、もし時間に余裕があれば、中国国内を旅行して、様々な文化や景色に触れることもお勧めです。
東京で子育てを楽しむ元北京駐妻bluebirdさんのブログより
実際に歴史スポットを訪れると、昔教科書で習ったことのある(そして忘却の彼方にある)地名、人名が突然生き生きと蘇って、頭の中に定着します。改めて中国史を復習する良い機会になります。都市によって文化、話し方、食べ物など全然違うので、違いを探すのも面白いです[10]。
また、実務にはあまり必要がないかもしれませんが、中国語を学ぶこともお勧めです。流暢でなくても、自国の言葉を覚えようとする前向きな姿勢は、「自分たちのことを理解してくれようとしている」と、現地の方との円滑なコミュニケーションへとつながります。
元駐在員のLamaさんのブログより
中国語がわかると仕事の指示がうまくスタッフに伝わっているかどうかも分かりますし、社内の人間関係まで知っていると、どこでサポートが必要か分かってきます。そして中国は本当にクチコミ社会なのでこの中に入れるかどうかでいろいろと変わってきます[11]。
若い世代は日本人に対して好意的とはいえ、歴史的な背景もあり、生まれた年代によっては、日本のことを良く思っていない人がいるのも事実です。
また、日本人同士でも同様ですが、同じ年代の中でも考え方は人それぞれであり、ひとくくりに考えるのは危険です。
人との接し方の正解は一つではなく、どの意見が絶対に正しいということはありません。文化の異なる人同士が共に生活をし、ビジネスを行う際に大切なのは、相手の主張の背後に存在する文化的バックグラウンドの特徴を認識して、相手を深く理解するように努めることです。
以上、中国駐在の楽しさや、より楽しくするための注意点、心構えをお伝えしました。中国で過ごし、現地の方とともにビジネスを進めた経験は、あなたの人生をより彩り豊かにしてくれることでしょう。
[10] 「[中国] 夫の中国駐在についてきて良かったと思う理由。帯同のメリット、海外生活で得られるもの」,『Bluebird Story』,https://bluebird-story.com/taidou/(閲覧日:2021年5月14日)
[11]「【元駐在員が伝えたい】中国赴任する若手駐在員心得 5か条」,『Life with spices』,https://lama-ai.com/youngexpatsinchina/(閲覧日:2021年5月14日)
5. まとめ
本稿では、中国に駐在すると分かる中国の良さや、独自のちょっとオドロキな文化などをご紹介し、駐在生活を一層楽しむために知っておくべき注意点や心構えをお伝えしました。
駐在員が語る、駐在したからこそわかった中国の良いところは以下の通りです。
・中国ビジネスのスピード感が刺激的
・日本好きな中国人、親切な中国人がとても多い
・日本に好意的な中国人が多く、「日本人」という理由で嫌な思いをすることは少ない
・中国人には親切な人が多く、お年寄りや子どもに優しい
・中国では人と人の距離が近く、他人に寛容
中国では合理的でスピードを重視するクールな面と、人情味あふれ人との付き合いを大切にする面が、絶妙なバランスで融合しています。よい意味で細かいことは気にせず、おおらかに生活できる風土がある、と言えるでしょう。
ちょっとオドロキな中国独自の文化は、以下の通りです。
・【転職文化】転職は当たり前。若い人ほど平均勤続年数が短くなる傾向がある
・【紅包(ホンバオ)文化】ビジネス・プライベート問わず「お金のやり取り」が行われる
・【買い物文化】アプリを制する者が中国での買い物生活を制す
中国駐在を楽しむために、理解しておいた方がよい注意点やリスクは以下の通りです。
・衛生面
・悪意を持って近づいてくる人もいると理解する
・日本本社との齟齬
中国駐在をより楽しくするためにやるべきことは以下の通りです。
【ハード面】
・遅くとも赴任3カ月前には準備を始める
・事前にVPNを契約しておく
先輩駐在員が身近にいるなら、実際に役立った意外なものや、用意したけれど全く不要だったものなど、リアルな情報を聞いておくことも有効でしょう。
【ソフト面】
・中国に関する知識の習得(中国語含む)
・中国人といってもひとくくりにはできず、色々な考え方の人がいると理解しておく
赴任した際、中国への興味や関心が伝わると、「自分たちのことを理解してくれようとしている」と、現地の方との円滑なコミュニケーションへとつながります。
本稿を参考にしていただき、中国赴任があなたの人生にとって素晴らしいスパイスとなることを願っています。
- 今すぐ中国語『転職は当たり前。転職しない中国人は能力が低い証拠なのか。』,https://www.imasugu-chinese.net/chinese/post20323(閲覧日:2021年5月14日)
- Directsourcing『中国の採用事情を解説します』,https://directsourcing-lab.com/blog/china-recruitment/(閲覧日:2021年5月14日)
- SankeiBiz『「米フェニックスの中国版」自称する武漢、不衛生さに抗議も…優先される“野心”』,https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200212/mcb2002121600021-n1.htm(閲覧日:2021年5月14日)
- ウィキペディア(Wikipedia)『中国の水供給と衛生状態』,https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%B0%B4%E4%BE%9B%E7%B5%A6%E3%81%A8%E8%A1%9B%E7%94%9F%E7%8A%B6%E6%85%8B(閲覧日:2021年5月14日)
- 中国と地方行政とまちづくり『なぜ中国は汚いのか。日本に来ると中国人が必ず言うこと』,https://minmachi.co.jp/blog/china/why-dirty/(閲覧日:2021年5月14日)