なるほど!中国赴任 準備編

中国赴任者必見!推奨される予防接種一覧と接種スケジュール&費用感

2024.2.5 更新

「赴任先で、日本にはない感染症が流行していたらどうしよう」

知らない土地に住むとなると心配事は色々ありますが、中でも深刻に感じるのは現地特有の病気や感染症ではないでしょうか。

例えば、北京では5月から10月にかけて気温が上昇するため、食中毒や腸チフスなどの感染症に注意が必要です。

また、北京市内や上海市内でも、発症すると致死率の高い狂犬病の感染事例が報告されています。

自分や家族が感染症にかかるリスクを下げるために、ぜひとも予防接種を受けておきましょう。

これから、中国赴任に推奨されている予防接種を解説します。また、予防接種が可能な病院選びや接種の費用子供を帯同するときの注意点について詳しく解説します。

あなたやご家族が、安全・健康に中国生活を送るための参考にしていただければ幸いです。

1. 中国赴任に際し推奨されている予防接種

中国の国土は広大なため、感染症にかかるリスクを最小限にするには赴任する地域に合った予防接種を受けることが有効です。

この章では、地域別に推奨されている予防接種と子供を帯同する場合の予防接種について解説します。

1-1. 地域別に推奨されている予防接種一覧

まず、北京・上海・広州などに赴任する際に推奨されている予防接種をご紹介します。

表)地域ごとに推奨されている予防接種

A型肝炎B型肝炎破傷風狂犬病日本脳炎腸チフス麻疹風疹水痘おたふくかぜ季節性インフルエンザ
北京  
上海     
広州 
大連     
重慶    
瀋陽     

(参考)外務省「世界の医療事情」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/index.html

上記の通り、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、日本脳炎は、地域によらず接種が推奨されています。特に、破傷風、日本脳炎については、接種後10年でワクチンの効果が下がってくるため、接種歴がある方でも追加接種を検討しましょう。

狂犬病については、野生動物と接触する可能性のある方などは接種しておいたほうが良いでしょう。

現地で健康に過ごすために

感染症にかかる原因として、蚊や動物に噛まれた傷口から細菌が体内に入ることや、衛生状態の良くない食物を摂取することなどが挙げられます。

日本では蚊やダニに刺されても大事になる可能性は低いため、特に注意しなくても問題ないでしょう。水や食物もしっかり管理されており、安全です。

しかし、海外では虫や動物が媒介する感染症にかかる場合がありますし、その国の水や食物が体に合わず食中毒を起こす場合もあります。

海外で健康で過ごすためには、衛生状態に十分注意することや、動物との接触をなるべく控えることなどが重要です。

1-2. 子供を帯同する場合の予防接種

中国赴任に帯同する子供がいる場合、まずは定期予防接種を優先した上で、A型肝炎や狂犬病などの大人と同じ予防接種を受けることが推奨されています。

予防接種によっては複数回の接種が必要なものもあり、前もって計画しておかないと中国赴任までに接種を完了できない可能性もあります。

定期予防接種が完了していない段階で海外に渡航する場合、現地で定期予防接種を受けることになりますが、「子供の予防接種が可能な医療機関を見つけられるか?」という問題があります。

そのため子供を帯同するタイミングとしては、定期予防接種が一段落する3歳以降が勧められています。

やむを得ず、現地で予防接種を受ける場合は、第3章「中国の赴任先で予防接種を受ける場合」で紹介する病院などに、接種が可能かどうかを事前に問い合わせておくと良いでしょう。

2. 予防接種は計画的に!中国赴任前の予防接種スケジュールと費用感

中国赴任者に推奨されている予防接種は、現地でも受けることが可能です。

しかし、免疫をつけた状態で渡航するには、日本で予防接種を済ませておくのが無難です。

中国渡航までに、今までの予防接種の接種歴をもとに、医師と必要な予防接種を相談し、スケジュールを計画する必要があります。また、比較的高額な予防接種もありますので、費用の目安も押さえておきましょう。

2-1. 予防接種のスケジュール例

予防接種によっては、複数回、数週間の間隔をあけて接種するものがあります。「渡航前に予防接種を始めたものの、中国渡航までに終わらなかった…」ということがないよう、それぞれどれくらいの期間が必要なのか、医師と相談しながら計画しましょう。

表)予防接種のスケジュール例

種類接種回数間隔
A型肝炎3回2~4週間後、半年~1年後
B型肝炎3回4週間後、半年~1年後
破傷風3回4週間後、半年~1年後
狂犬病3回4週間後、半年~1年後
日本脳炎3回1〜4週間後、1年後
腸チフス1回(追加接種する場合、3年後)
麻しん風しん2回4週間以上
水痘2回13歳以上は4週間以上

上記の表からも分かるように、予防接種によっては2回以上の接種が必要です。最初の出国までに2回目までの予防接種を終わらせておき、1年後などに日本に一時帰国したときに、残りの接種を受けるのも一つの方法です。

(参考)川崎医科大学付属病院小児科「海外渡航者の予防接種Q&A」川崎医科大学小児科学教室

https://plaza.umin.ac.jp/jstah/pdf/yoboqa.pdf

予防接種が可能な日本国内の病院の探し方

海外渡航者向けの予防接種が可能な医療機関は限られています。厚生労働省の「FORTH」というサイトでは、地域ごとに海外渡航者向けの予防接種を行っている機関を検索できます。

住所を入力して、希望の予防接種を選択すると検索結果が表示されます。自宅や勤務先付近で予防接種を済ませたい方はぜひ参考にしてください。

ワクチン接種機関検索サイト

厚生労働省「予防接種実施機関」,『FORTH』,https://www.forth.go.jp/moreinfo/vaccination.html(閲覧日:2024年1月15日)

2-2. 予防接種の費用例

海外赴任のための予防接種は健康保険の対象外となるため、全額自己負担になります。病院やクリニックによって差がありますが、どの程度の費用がかかるのか目安をご紹介します。

表)ワクチン接種費用例

ワクチンの種類料金(1回)(税込)
A型肝炎7,700円
B型肝炎6,270円
破傷風3,740円
狂犬病16,500円
日本脳炎7,700円
腸チフス(輸入ワクチン)9,680円
麻しん風しん(MR)13,200円
水痘7,700円
参考)東京医科大学病院「各種料金表」,2023年4月21日現在,https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/tokou/cost.html(閲覧日:2024年1月15)

上記を参考にすると、A型肝炎(2回)B型肝炎(2回)と破傷風、狂犬病(2回)、腸チフス(1回)の予防接種を受けた場合、約74,000円の費用がかかります。家族を帯同する場合、さらに家族分の費用がかかります。

接種にかかる費用が勤め先の負担ではなく自己負担になる場合は、費用面でも吟味が必要になるかと思います。医師とも相談の上、よく検討して必要なものを接種するようにしましょう。

3. 中国の赴任先で予防接種を受ける場合【病院一覧付き】

どうしても日本での予防接種のスケジュールが合わない場合、現地の病院で予防接種を受けることも可能です。

外務省が紹介している主要都市の病院を以下にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。(各病院の住所・電話番号は外務省「世界の医療事情」の情報に準拠しています)。

表)中国で予防接種が可能な病院例(外務省「世界の医療事情」各地のページより、現地のワクチン接種医療機関等のリスト一部抜粋)

北京
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/vaccine/pdfs/beigin.pdf
ラッフルズメディカル北京クリニック
https://www.rafflesmedicalchina.com/site/beijing-hospital
北京市朝陽区新源里16号昆沙中心1座105室010-6462-9054
ユナイテッド・ファミリー医院
https://beijing.ufh.com.cn/ja/
北京市朝陽区将台2号010-5927-7332
VISTA メディカルセンター
(http://www.vista-china.net/jp/)
北京市朝陽区光華路1号(ケリーモール)3階010-8529-9486
上海
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/vaccine/pdfs/shanghai.pdf
東和クリニック浦東院
http://www.towa-clinic.com/
上海市浦東新区錦康路5号021-5017-9407
上海嘉会国際医院
(https://www.jiahui.com/)
上海市徐匯区桂平路689号400-868-3000
上海グリーンクリニック
https://www.greenclinic.com.cn/
上海市長寧区仙露路88号太陽広場東塔1階021-6208-2255
(江蘇省蘇州市)蘇州森茂診療所(http://suzhou-morishige.com/index.html

蘇州市高新区獅山路199号 新地中心8階0512-6818-8001
広州
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/vaccine/pdfs/koshu.pdf
康辰医療(EurAmメディカルセンター)
http://www.eurammedicalcenter.com/wzsy
広州市天河区珠江新城華利路19号遠洋明珠大厦北座1階020-37591168
和睦家医院(ユナイテッドファミ リーホスピタル) (https://guangzhou.ufh.com.cn/)広州市海珠区琶州大道31号188-2013-6819
大連
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/vaccine/pdfs/dalian.pdf
大連VITUP国際病院 (維特奥国際医院) (https://www.vitup.cn/index.php/cn/)大連市開発区双D港生命二路 22 号0411-3927-1902
重慶
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/vaccine/pdfs/chongqing.pdf
莱佛士医院(RafflesHospital)
(http://www.rafflesmedicalchina.com/site/chongqing-hospital)
重慶市渝北区華山中路2号023-8600-6999
瀋陽
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/vaccine/pdfs/shenyang.pdf
金秋医院
(http://www.lnsjqyy.com/)
瀋陽市瀋河区小南街317号024-6278-4567

上記の医療機関での予防接種を検討する場合、接種が可能なワクチンや費用等については事前の確認が必要です。

予防接種を済ませているかどうかに関わらず、感染症が疑われる症状が出た場合には、医療機関を受診しましょう。

中国で病気になったら? 日本人におすすめの病院一覧と医療費の備え方

4. まとめ

本稿では、中国への赴任時に推奨されている予防接種について解説しました。

感染症から身を守るためには、赴任先に合わせた予防接種が有効です。

また、接種にあたっては、可能な限り日本であらかじめ接種しておくことをお勧めします。

予防接種によっては2~3回、数週間~1年の間隔をあけて接種するものがあります。中国渡航までに接種を完了させるには、予防接種のスケジュールを医師と相談し、しっかりと計画する必要があります。

基本的に、海外赴任のために必要な予防接種は健康保険の対象外です。病院によって差はありますが、ワクチンの種類と回数によっては総額が10万円前後になるケースもあります。

どうしても日本で予防接種を受けることができない場合、現地の医療機関で予防接種を受けることも可能です。

外務省の「世界の医療事情」のサイトには、北京や上海などの地域ごとの医療機関が紹介されているので参考にすると良いでしょう。

海外に行くと思いもよらない病気に感染する可能性があります。病気になると体調を崩すだけでなく、ビジネスにも大きな影響を与え、志半ばにして日本への帰国を余儀なくされるかもしれません。

自分と家族の健康を守るため、しっかりと予防接種を受けておきましょう。

  • マイメディカルクリニック「中国(China)への渡航に備えた予防接種」,https://mymc.jp/outpatientconsultation/travelers/travel_china/(閲覧日:2024年1月16日)
  • 一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会,『こどもとおとなのワクチンサイト』, https://www.vaccine4all.jp/ (閲覧日:2023年1月16日)
  • 厚生労働省FORTH「国別情報:中国」,https://www.forth.go.jp/destinations/country/china.html(閲覧日:2024年1月16日)

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