「日本円から中国人民元に両替したいけど、安全でお得な方法はどれだろう?」
中国への赴任準備を進めている方であれば、そんな疑問をお持ちかもしれません。
結論から言うと、日本円から人民元への両替は中国で行った方がお得です。日本よりも両替手数料が安く済むからです。空港からのタクシー代など、必要最低限の額を日本で両替しておいて、残りは現地で両替するのがベターです。
この記事では、日本と中国での両替方法について解説します。中国のマネー環境を考慮しつつ、お得・便利さ・安全性を考慮して最適な方法を見つけましょう。
目次
1. 日本円から中国人民元への両替で、まず押さえておきたいこと
「中国に出発する前に早く両替しておかないと!」と焦る気持ちがあるかもしれません。しかし、両替をする前に、中国のマネー事情を軽く押さえておきましょう。
1-1. 中国ではキャッシュレス決済が主流
中国では、電子決済アプリを使ったキャッシュレス決済が主流になっています。
電子決済アプリは、買い物や食事はもちろんのこと、タクシーや地下鉄などの交通機関でも利用できます。財布を持たなくても、「電子決済アプリをインストールしたスマートフォンがあれば生活できる」とも言われており、日本よりもはるかにキャッシュレスが浸透しています。
このような背景を考えると、大量の現金を一度に両替する必要性は低いでしょう。それよりも、電子決済アプリをインストールしてチャージしておくなど、中国の実情に合わせた準備を進める方が実用的です。
中国の物価はどのくらい?
地域によって差がありますが、参考として上海市の平均的な物価をご紹介します。
(※2023年6月1日時点:レートは1元=19.56円で換算)
- タクシー初乗り料金:3kmで14~16元(約270~320円)
- 地下鉄の最短区間:3元(約60円)
- 市中の公共バス:2~4元程度(約40~80円)
- マクドナルドのビッグマック価格·:約18元(約360円)
- 清涼飲料水500mL:2~5元程度(約40~100円)
- 一般的なランチ価格:20~30元程度(約400~600円)
- 全国の大卒平均初任給:月収5,833元(約11.4万円)[1]
上記からわかるように、あまり多くの額を両替する必要はなさそうです。
1-2. 中国での両替がお得!
両替手数料などを考えると、中国で日本円から人民元に両替した方がお得です。外国で両替するのはハードルが高く感じるかもしれませんが、さほど難しくはありません。この後の2章で、中国の両替方法を詳しく解説しているので参考にしてください。
まずは、空港に降り立ってから、中国の街なかへ両替に行けるまでの期間に必要な人民元を、事前に準備しておきましょう。
上海の場合、空港から市内までのタクシー代は約200元(約4,000円)程度です。地下鉄を利用すると約7元(約140円)で移動できます。
個人差がありますが、1人なら2~3万円、家族で一緒に行くなら余裕を持って5万円程度を事前に両替しておけば、中国に着いてから1~3日程度の生活は問題ないと思われます。荷物の整理などが落ち着いてから、当面の必要経費を現地で両替するといいでしょう。
2023年6月時点でのレートは1元=20円前後です。直近10年では、おおよそ1元=15~20円の間で推移しています。レートがいい時期にまとめて両替しておくと安心です。
中国へのお金の持ち込み、持ち出しのルール
5,000米ドル相当を超える外貨を中国に持ち込む場合は、税関での申告が必要です。また、人民元の持ち込み・持ち出しに関しては2万元(約40万円)までと制限されているので、日本で両替する時は注意しましょう。[2]
2.日本円から中国人民元への両替の方法
日本円から人民元に両替する具体的な方法をご紹介します。日本と中国、双方での両替方法を取り上げるので、あなたに合った方法を選んでください。
2-1. 日本で両替する方法
本格的な中国生活が始まるまでの、当座の生活に最低限必要な金額は、事前に両替しておく必要があります。日本で両替する場合は以下の方法があります。
- 金券ショップ
- 外貨宅配サービス
- 銀行
- 空港
・金券ショップ
金券ショップでは、銀行よりも両替レートが良いのでお得に両替できます。基本的に土日祝も店舗は開いているので、休みの日に両替を済ませることも可能です。
デメリットは、ショップまで足を運ぶ必要があることと、場合によっては人民元が品切れになっている可能性があることです。
・外貨宅配サービス
外貨宅配サービスとは、希望する外貨を希望の場所まで配達してくれるサービスです。ショップに足を運ぶ必要がなく、オンラインで注文できるので、とても便利です。
デメリットは外貨の到着までに時間がかかることです。基本的には、申請してから1週間程度で外貨を受け取ることができますが、場合によってはそれ以上かかることもあります。ある程度の余裕をもって準備をする必要があります。
参考として、外貨宅配サービスの業者を数社ご紹介します。配達料や金種の指定の可否など、サービスの内容はさまざまですので、ホームページを確認して選びましょう。
・トラベレックス・オンライン 外貨宅配サービス https://www.travelex.co.jp/onlinex/mwt
トラベレックス外貨宅配サービスでは、365日24時間いつでも注文が可能です。1回の注文金額は3万円以上~30万円以下となっており、配達料は注文金額が10万円未満の場合は1,000円、10万円以上の場合は無料です。
・外貨両替ドルユーロ https://doru.jp/
外貨両替ドルユーロはレートが良く、配送も迅速な外貨宅配サービス業者です。もちろん人民元にも対応しており、午前11時まで(2023年5月現在、コロナ対応のため。通常は午後3時まで)に注文・着金を行うとその日のうちに出荷してくれます。
1回の購入金額は3万円以上で、上限はありませんが、200万円以上の購入は、身分証明書の提示などが必要です。銀行振込の場合の郵送料は400円で、10万円以上注文すると無料になります。代金引換の場合は郵送料が700円です。
・GPA外貨両替専門店 ONLINE STORE 外貨宅配サービス https://gpa-exchange-onlinestore.jp/
GPA外貨両替専門店は成田国際空港株式会社のグループ会社です。信頼できる銀行から調達した外貨を取り扱っているのが特徴です。1回の注文額は3万円~30万円、1日の取引上限金額は100万円となっています。
支払いは代引きのみですが、配達料や代引手数料はすべて無料です。また、外貨宅配サービスでは珍しく、金種を制限なく指定できるサービスも行っています。
・銀行
銀行を利用するメリットは、お金の数え間違いや偽札の混入、紙幣の品切れの心配が少ないことです。自宅の近くにある銀行であれば、出発当日に両替を済ませることができます。最近では、外貨宅配サービスを行っている銀行もあります。
中国では、少額の支払いに100元札を出すと、会計を断られるケースもあるため、小銭の準備は必須です。銀行では金種が指定できないパック販売が多く、100元札しか受け取れないこともあるので事前に確認しておきましょう。
・空港
空港の両替所を利用するメリットは、出国直前でも人民元を手にできることです。「忙しくて事前に両替する時間がなかった」という方におすすめです。ただし、両替レートが良くないデメリットがあります。
2-2.中国で両替する方法
日本円から人民元への両替は現地で行った方がお得です。しかし、外国で両替をすると言葉や安全性の不安があり、ちゅうちょする方も多いのではないでしょうか。この章では、安全かつお得に両替できる方法をご紹介します。
現地で両替するには以下の方法があります。
- 銀行
- 空港
- ホテル
- 両替商
・銀行
中国で両替するなら、基本は銀行です。安心・安全・レートも悪くはなく、偽札を渡される心配もありません。
中国には、4大メガバンク(中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行)の他にも、招商銀行や上海浦東発展銀行などの大銀行があり、いずれも一定以上の規模の支店であれば両替ができます。銀行によって、若干レートが異なりますが、大きな違いはありません。
外国で両替をするとなると「言葉が通じるだろうか?」と心配になるかもしれませんが、手続きはシンプルです。以下の流れで進んでいきます。
- 店舗に入って受付の人に「Exchange」と伝える
- 順番待ちの紙を受け取る
- 両替用紙に必要事項を記入する
- 日本円とパスポートを受付に出す
- 換金証明書(兑换水单)と人民元を受け取る
英語が苦手な人でも「Exchange」の発音が伝われば問題なく両替できるでしょう。
以下の項目では、空港やホテルでの両替をご紹介しますが、基本的には銀行での両替と同じ手順で行えます。
中国の銀行で両替をする場合はパスポートが必要になります。忘れずに持参しましょう!
中国人民元が余ったらどうしたらよい?
人民元が余った場合は、人民元から日本円に換金できます。このとき、日本円から人民元に両替した時に受け取る換金証明書(中国語で兑换水单)が必要になります。うっかり捨ててしまわないように注意しましょう。
・空港
現地に着いてすぐに両替をしたい場合は、空港の両替所を利用できます。ただし、空港の両替所は両替手数料が高く、1回で1,000円程度かかります。
そのため、空港にあるATMでクレジットカードのキャッシングをして人民元を引き出し、翌日にサービスセンターへ連絡して即日引き落としてもらうのが、中国生活を始める前の準備としては、最も手数料が安く便利です。
クレジットカードのキャッシングサービスは使える?
中国でもATMを使ったクレジットカードのキャッシングサービスが利用できます。銀行などを利用するよりも手数料が安くなることもあります。
ただし、キャッシングサービスには金利が発生するので、なるべく早く返済することが重要です。
・ホテル
外国人が利用するホテルであれば、両替に対応してくれるところも多いです。両替レートもさほど悪くありません。最近では、ロビーに自動両替機が置かれていて日本語に対応しているものもあります。
市内に出かけて銀行で両替することを考えると、ホテルでゆっくりと両替するのも良いでしょう。しかし、すべてのホテルで両替できるわけではないので、両替が可能かどうか事前に確認する必要があります。
・両替商
銀行に近づく外国人がいると「こっちの方がいいレートで両替できるよ!」と呼び込みをされることがありますが、中国では、基本的に両替は銀行が行うことになっています。銀行以外の両替商は、まず、闇両替を疑いましょう。
闇両替は、もちろん違法なので、関わるべきではありません。偽札や犯罪に絡むトラブルに巻き込まれないように注意しましょう。[3]
友諠商店などの外国人観光客の多いショッピングセンター内の両替窓口は、銀行の出張窓口です。正規の両替窓口であれば、銀行のプレートが表示されています。
3. まとめ
日本円から人民元に両替するタイミングと方法についてご紹介しました。
両替手数料などを考えると、日本円から人民元への両替は現地の銀行で行う方がお得です。中国では、電子決済アプリを使ったキャッシュレス決済が普及しているので、大量の現金を両替する必要はありません。空港からのタクシー代など、必要最低限の額を空港から出発する前に両替しておきましょう。
日本での両替方法は以下の通りです。
- 金券ショップ
- 外貨宅配サービス
- 銀行
- 空港
お得に両替したい方は金券ショップを利用するといいでしょう。一方、ショップに足を運ぶ時間のない方などは、銀行や空港の両替所を利用できます。
中国での両替方法は以下の通りです。
- 銀行
- 空港
- ホテル
- 両替商
中国での両替は、基本は銀行です。ATMを使ったクレジットカードのキャッシングも、引き落とし日に注意すれば便利です。市内には両替商がありますが、正規の両替窓口かどうか、きちんと確認しましょう。
海外生活をスムーズにスタートさせるにはお金の準備は重要です。今回ご紹介した情報があなたの赴任準備のお役に立つことを願っています。
- 本地宝「上海地鉄票価査詢」,『上海本地宝』,http://sh.bendibao.com/ditie/piaojia.shtml(閲覧日2023年6月2日)
- トラベレックスジャパン株式会社「トラベレックス・オンラインご利用条件」,『トラベレックス・オンライン』,https://www.travelex.co.jp/legal/travelex-online-terms-and-conditions(閲覧日2023年6月5日)
- 株式会社外貨両替ドルユーロ,『外貨両替ドルユーロ』,https://doru.jp/(閲覧日2023年6月5日)
- トラベレックスジャパン株式会社「よくあるご質問」,『トラベレックス・オンライン』,https://www.travelex.co.jp/faq(閲覧日2023年6月5日)
- 株式会社外貨両替ドルユーロ「売却金額の上限、下限はありますか?」,『外貨両替ドルユーロ』,https://doru.jp/qa/2014/08/post-39.html(閲覧日2023年6月5日)
- 株式会社グリーンポート・エージェンシー「よくあるご質問」,『GPA外貨両替専門店 ONLINE STORE 外貨宅配サービス』,https://gpa-exchange-onlinestore.jp/(閲覧日2023年6月5日)
- 株式会社ロコタビ「上海でのお得な両替!「円→人民元」おすすめの替え方を現地在住者が紹介します」,『LOCO TABI』,https://locotabi.jp/shanghai/guide/tp-gen-money (閲覧日2023年6月2日)
[1] 人民網日本語版「中国、学部卒すぐ月収1万元以上は6.1% 働く人は専攻をどう見る?」,http://j.people.com.cn/n3/2022/0628/c94476-10115990.html(閲覧日2023年6月5日)
[2]在中国日本国大使館「日本からお越しの皆様へ~安全の手引き」,在中国日本国大使館,https://www.cn.emb-japan.go.jp/consular_j/joho120220_j.htm(閲覧日2023年5月15日)
[3] 在中国日本国大使館「中国での偽札に関するQ&A」,https://www.cn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consular_nisesatsu.html (閲覧日:2023年6月2日)