「もし中国で体調を崩したら、日本と同じように、手軽に市販薬を買えるのだろうか?」
海外生活で体調を崩したとき、第一選択肢は医療機関での受診です。しかし、症状や状況によっては薬を服用して様子を見たい場面もあるでしょう。
この記事では、中国で薬を買える場所や、代表的な薬、薬を買うときに役立つ中国語などを紹介します。「中国では、薬はどこで買えるのか」「どのような薬があるのか」「中国語に自信がないがどうやって薬を買えばよいのか」といった不安を持つ方は、参考にしてみてください。
目次
1. 中国の「薬局」と「ドラッグストア」 日本との違いに要注意
日本で薬を買うなら、薬局またはドラッグストアが一般的です。しかし、一般的に中国のドラッグストアでは薬を買うことができないので要注意です。
1-1. 中国で薬を買うなら「薬局」に行く
中国で薬を買う場合、基本的には薬局に行くことになります。上述した通り、たとえ市販薬であっても、一般的に中国のドラッグストアでは薬が売られていないからです。
日本ではドラッグストアで買えるような市販の風邪薬や頭痛薬、腹痛薬なども、中国では薬局が販売しています。
薬局で薬を購入するに当たり、症状に合う薬かどうかを相談するには、ある程度の中国語力が求められます。
中国語を話せない場合は、事前に買いたい薬を調べておき、パッケージの写真を店員に見せるか、中国語を紙に書いて見せると、あまり中国語を話さずに買うことができます。
第2章では、薬局の探し方や、薬局で使える中国語をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1-2. ドラッグストアで買えるのは「薬以外」のもの
中国のドラッグストアでは、シャンプーやコスメ、サプリメント、ティッシュなどの日用品が販売されています。日本と異なり、薬は取り扱っていないことがほとんどです。
中国の一般的なドラッグストアとして、「Watsons(屈臣氏)」や「mannings(萬寧)」が挙げられます。日本に例えるなら、「マツモトキヨシ」や「ウエルシア」に相当するような有名チェーン店です。
どちらも香港系のドラッグストアで、北京や上海など都市部のショッピングモールなどに入っています。薬以外の商品を購入したいときには、ドラッグストアを訪れるとよいでしょう。
1-3. 「美団」などのスマホアプリで薬を買うことも可能
ここまで「薬を買うなら基本的に薬局で買うことになる」と紹介してきましたが、今や主流は店舗ではなくスマホアプリでの購入です。
例えば大手ECアプリの「美団(Meituan)」には「看病买药」という、薬を購入できるボタンがあります。
薬局に行かずとも薬を買えるとても便利なサービスですので、購入の際には選択肢の1つとするとよいでしょう。
日本の市販薬も、「マツモトキヨシ」のWebサイト(https://global.matsukiyo.co.jp/)や、「Nanaco」という中国生活支援アプリから購入が可能です。中国で日本と同じものが購入できる点は便利なものの、送料が割高になる点に注意してください。
2. 現地の薬局で薬を買う方法と注意点
体調が悪いといっても、市販薬で様子を見たい場合もあるかと思います。本章では、どのように薬局を探せばよいのか、どのような薬を購入できるのかを解説します。
2-1. 中国で薬局を探す主な方法
中国で薬局を探す主な方法は2つあります。
- 「药店」や「药房」の看板を探す
- 薬局検索サイトを利用する
「药店」や「药房」の看板を探す
中国語で薬局は「药店」または「药房」と書きます。
他にも、「Pharmacy」と英語で表記している薬局もあります。
常備薬では対応しきれない場合に備えて、出勤や買い物など外出時に薬局を探しておくと、万が一の場合でも慌てずに対応できます。
薬局検索サイトを利用する
中国には、薬局を検索できるWebサイトがあるので、一例をご紹介します。
薬局の住所や電話番号だけでなく、お店の雰囲気をチェックできるWebサイトもあるので、確認してみるとよいでしょう。
表)中国の薬局検索サイトの例(閲覧日:2024年3月26日)
サイト名 | 内容 | URL |
---|---|---|
药品通 | 中国の医療・健康情報などのポータルサイト「39健康网」にある、薬局の検索サイト。エリアや店舗形態(チェーン店・自営・オンライン)、営業時間などの条件を指定して検索できる。薬局で販売している薬も確認することが可能。 | https://ypk.39.net/yaodian/ |
大众点评 | 中国版「食べログ」ともいわれる中国最大手の口コミサイトで、都市ごとに情報を見られる。薬局の他にも、レストランやホテル、映画館などのレビューや写真が確認できる。 | https://www.dianping.com/ |
薬が必要になったときにすぐに買うことができるよう、事前にチェックしておくことをおすすめします。
2-2. 中国の薬局で買える代表的な薬の例
ここでは、中国で比較的有名な薬をご紹介します。まだ中国語がうまく話せないという方は「薬のパッケージ画像を店員に見せて購入する」という方法が、簡単かつ店員との間に認識のズレが生まれにくいためおすすめです。
表)中国で購入できる薬の例
成分・商品名 | 効能 | パッケージ例 |
---|---|---|
布洛芬 bùluòfēn (イブプロフェン) | 鎮痛 解熱 | |
对乙酰氨基酚 duì yǐxiān ānjī fēn (アセトアミノフェン) | 解熱 鎮痛 | |
止咳糖浆 zhǐkétángjiāng (咳止めシロップ) | 咳止め 喉の痛みの緩和 | |
蒙脱石 Méngtuōshí (モンモリロナイト) | 下痢症状の緩和 | |
多潘立酮 Duōpānlìtóng (ドンペリドン) | 胃の不快感の緩和 |
その他、風邪の予防や治療などに用いられる漢方の「板蘭根」も有名です。
中国では上記のような薬を購入できますが、日本のものとは成分や配合量が違う場合があり、体に合わない可能性もありますので、服用には注意が必要です。
2-3. 中国語が話せなくても大丈夫!薬局で使える実践的中国語単語リスト
薬局で薬を買う必要がある場合に役立つ中国語をご紹介します。発音に自信のない方は、症状や購入したい薬の種類を漢字で書いたメモを店員に渡すとよいでしょう。
症状を表す中国語
- 風邪:感冒(gǎnmào)
- 胃が痛い:胃疼(wèiténg)
- お腹が痛い:肚子疼(dùziténg)
- のどが痛い:嗓子疼(sǎngziténg)
- 頭が痛い:头疼(tóuténg)
- 便秘:便秘(biànmì)
- 下痢:腹泻/拉肚子(fùxiè/lādùzi)
薬の種類を表す中国語
- 頭痛薬:头痛药(tóutòngyào)、头疼药(tóuténgyào)
- 解熱剤:退烧药(tuìshāoyào)
- 目薬:眼药水(yǎnyàoshuǐ)
- 湿布:膏药(贴)(gāoyào(tiē))
3. 常備薬は日本から持参すると安心
中国の薬局では、中国語でコミュニケーションを取る必要があるので、症状をうまく伝えられなかったり、店員の説明をしっかり理解できなかったりする可能性があります。
また、初めて服用する市販薬は、自分の体質に合わないこともあります。飲み慣れた常備薬があるなら、日本から持参する方がよいでしょう。
市薬品の持ち込みに税関での申告は不要ですが、営利目的と見なされると関税を徴収されるため、持ち込む数量には注意が必要です。また、含有成分が明確に分かるように、パッケージごと持参しましょう。
日本の「12の神薬」も何を持参したらよいかの参考になります。12の神薬とは、2014年に中国の大手ポータルサイト搜狐(sohu)に掲載された「日本に行ったら買うべき12の新薬」という記事から人気に火が付いた、日本の市販薬リストです。
その後も10の神薬、20の神薬など、絶えず口コミが挙がっています。人気があるのは主にサンテボーティエなどの目薬、サロンパスなどの消炎鎮痛剤、口内炎パッチ大正Aなどの口内炎治療薬、解熱シート、総合感冒薬などで、龍角散も人気があります。常備薬の他にどのような薬を日本から持参するか、判断の参考にしてください。
4. 体調を崩したときは、なるべく早く病院へ
海外で生活をすると、思いがけない病気やストレスで、体調を崩すことがあります。
慣れない異国で病院を探し、慣れない言葉で受診することを面倒に感じたり、そもそも忙しくて時間が取れなかったりする場合もあるかもしれません。
しかし、薬では対処できない病気にかかっているかもしれず、病院での診断・治療が遅れると症状が悪化する可能性もあります。
やむを得ず薬で対処するしかない状況もあると思いますが、中国には、日本人や日本語を話せる医師などが在籍している病院もあります。
日本にいるときと同様、またはそれ以上に体調を気遣い、無理をしすぎず必要に応じて受診するようにしましょう。
5. まとめ
本稿では、中国の薬局・ドラッグストア事情を解説しました。体調が悪いとき、まずは病院の受診を検討すべきですが、やむを得ず薬を買う場合は薬局で購入しましょう。ドラッグストアでは、一般的に薬を取り扱っていません。
また、薬局に行かずとも「美団」のようなアプリで薬を買うこともできます。購入の選択肢の1つにするとよいでしょう。
中国で薬局を見つけるには、以下の方法があります。
- 中国で薬局を意味する「药店」や「药房」、または英語表記の「Pharmacy」の看板を探す
- 薬局検索サイトを利用する
中国で販売されている薬は、日本のものとは成分や配合量が違う場合があり、体に合わない可能性もありますので注意が必要です。
薬は日本から多めに持参して、飲み慣れたものを服用することがベストです。頭痛や腹痛の薬だけでなく、日本製の質の良い目薬なども中国では手に入りにくいので、持参すると安心です。
今回の情報を参考にしていただき、あなたの中国ライフが安全で快適なものになることを願っています。
- 株式会社トッパントラベルサービス「海外出張中に体調不良! 中国の薬事情と中国語付の対応策を徹底解説」,『BTHacks』,https://www.bthacks.com/2212/(閲覧日:2024年4月16日)
- エイチ・エス損害保険株式会社「海外旅行に日本の薬は持参できる?持ち込む際の注意点を紹介」,『エイチ・エス損保』,https://www.hs-sonpo.co.jp/protect/article/article_61.php(閲覧日:2024年4月16日)
- 吉林德济药业有限责任公司, http://jldjyy.com/(閲覧日:2024年6月6日)
- 西南药业股份有限公司, https://www.swp.cn/(閲覧日:2024年6月6日)
- 葵花药业集团股份有限公司, https://www.kuihuayaoye.com/?dianying=ctunsrf6/wicev.pptx#/home(閲覧日2024年:6月6日)
- 湖南方盛制药股份有限公司, https://www.fangsheng.com.cn/(閲覧日:2024年6月6日)
- 山西宝泰药业有限责任公司, http://www.sxbtyy.cn/index.php(閲覧日:2024年6月6日)
- 産経新聞「中国人が爆買いする「神薬12」 日本人が知らなかった小林製薬のスゴイ実力」,2015年9月20日,https://www.sankei.com/article/20150920-JEJX5GZL4FMPZCOKUBFM4VO3LU/(閲覧日:2024年4月16日)